いろいろと考えさせられる

 
 このところ、訃報ばかりを取り上げているようではありますが。
 絵本「ノンタン」シリーズの作者・キヨノサチコさんが、今年6月に亡くなられていたそうです。
 ご本人の遺志により、亡くなられたこともすぐには発表されず、近しい人たちのみでお別れをしたのだとか。
 生前から、
「自分がいなくなっても、ノンタンは子どもたちのなかで生き続けてほしい」
「読者にとっては、作家ではなく作品が大切」
 といった意味合いのことを言っておられ、色紙を所望されたときでも、ご自分のサインなどは書かれず、ノンタンの絵を描いておられたそうです。
 書き手(描き手)として、非常に尊敬すべき考え方であり、身の処し方であるとは思うものの、やはり、何も知らされないままでいるのも寂しいなぁ、と感じました。
 最近では、新作の絵本は発表されておらず、今までに描いてきた絵を使っての「ぬりえ」絵本や、歌の絵本などを編集者と相談して作られていたそうですが、そうした作品でも待ち望んでいた読者はいたと思うんです。
 もう作り手はいないんだよ、新しい本は送り出せないんだよ、ということを読者に伝えるのも、書き手(描き手)の最後の役割としてあっても良いんじゃないかなぁ、と思いました。
 
 なんにしても。
 子どもたちのために作品を創りつづけてきた一人の作家がいなくなったことは事実です。
 ご冥福をお祈りいたします。