絶句

 
 作家・北森鴻が亡くなられました。
 享年48歳。
 いくら何でも早すぎるでしょう。
 異端の民俗学者・蓮杖那智や、孤高の旗師・宇佐見陶子、花師であり絵画修復師でもある佐月恭壱など、魅力的な人物たちの新たな活躍が、もう二度と読めないと思うと、寂しさもひとしおです。
 ことに、旗師・冬狐堂を名乗る宇佐見陶子は、最近のミステリー小説における主人公格の人物としては出色の存在だと思っていました。
 個人的に「陶子」という名前が好きなこと。
 まさに陶器のように繊細な神経と心を持ちながら、斬った貼ったの旗師(骨董)の世界を女一人で渡っていくこと。
 本当に魅力的なキャラクターだと思います。
 
 嘆いていても仕方ないと思いながら。
 それでも、早すぎる……と呟いてしまう自分がいます。
 
 御冥福をお祈りいたします。