賢い煙草の嗜みかた
相方が、会社の「憩いの広場」(何の事はない、社屋の裏手、外に設置してある灰皿置き場)で、ぼんやりと煙草をふかしてたら、先輩の社員さんがやってきて、
「一本くれんか?」
と、おっしゃったそうだ。
相方は、もちろん快く煙草を差し出し、差し出しついでに、
「煙草やめるようなこと、言ってませんでした?」
と尋いてみたらしい。
自分が相手の意志の邪魔をしちゃうのは、あんまり気分が良くないからね。
すると、先輩さん、
「まぁ、そんなつもりじゃいたんだけど、やっぱり全然ないのもなぁ……」
と苦笑い。
相方も、その気持ちは解るので、二人ならんで、ぼんやりと煙草を喫っていたそうな。
やがて、先輩さんは煙草を喫いおわり、
「最近は高いから、これ、気持ちだけだけど」
と、相方に50円玉を渡してくれた。
帰宅して、この話をした相方、
「次に言われたとき、普通にあげれば、それで良いかなと思ったから、50円はもらってきちゃった」
と言うので、私も、
「うん、それでいいんじゃないの」
と答えた。
で、答えてから思ったんだけど、この先輩さんの煙草の嗜みかたって賢いんじゃないだろうか。
今まで楽しんでた嗜好品なんだから、いきなり止めろって言われたって、そう簡単に止められるものじゃない。
でも、値段は上がってるし、世間様は「禁煙こそ正義」の方向に走ってる。
となると、我が家みたいな変わり者の家族が揃っている家ででもないかぎり、自宅で楽しむこともできないだろう。
ならば、先輩さんのように、仕事の区切りがついたとき、ほんのちょっと楽しみたいな……と思ったら、相方みたいなヤツを見つけて譲ってもらうのが、結構スマートな嗜みかたなんではないかな、と。
てことは、湿気っちゃうから難しいかもしれないけど、煙草の一本売りとかあったら案外、需要があるのかもなぁ。
昔の煙草(煙管に詰めるヤツ)は重さで売ってたわけだし、バラ売りってあったら便利だよね。
新製品が気軽に試せるし(笑)
ま、法律のこともあるだろうから、難しいのかもしれないけど、バーやクラブでのサービス商法としてなら、何とかならないかな。
最近じゃ、店内でも完全分煙できないと営業できない、などの法律が幅を利かせつつあるから難しいかな。
愛煙家には生きづらい世の中だよねぇ……