歩行者優先にも程がある

 
 毎年この時期(9月)になると、近所の施設で「女性映画祭」なるものが開かれる。
 5日間ほどの会期で、「女性の生き方」や「女性の考え方」をテーマにした映画を上映する、という催しだ。
 わりと新しい作品や有名な作品、題名だけは聞いていても、なかなか劇場で観る機会のない外国映画など、様々な作品が大きなホールで上映され、安価で鑑賞できるというので、たくさんの人がやって来る。
 テーマが「女性」だというだけで観客に性別の制限はないのだが、やはり、観客は女性が多い。
 なかでも、40代以上の「おばさま」がたがメインだ。
 このおばさまがたが曲者で。
 この映画祭の間じゅう、毎年のように、周辺住民がブチ切れる原因を作ってくださる。
 映画祭の会場になる施設は、対向2車線の細い道路に面している。
 その細い道路を挟んだ向かい側には、やはり市の施設である古い建物を擁した公園があり、映画祭に来る人は(交通の便宜上)この公園を突っ切ってきて、そのまま道路を渡ってくる場合が最も多い。
 もうちょっと渡る位置をズラせば、ちゃんと信号のある横断歩道が整っているというのに、たかだか30mほどの距離を歩く労を惜しんで、けっこう交通量のある生活道路をいきなり突っ切ろうとするのだ。
 めんどうくさいんだろうね。
 その気持ちは解らなくもないよ。
 だから、百歩……じゃ足りねぇな、千歩ぐらい譲って、道路を突っ切るのは「よし」としよう。
 でも、自分たちが本来、渡るべきではない場所を渡ってるっていう自覚ぐらいは持ってほしい。
 具体的に言うなら、左右から車が来てるかどうかぐらい、確かめろってことだ。
 べちゃべちゃしゃべりながら歩いてきて、いきなり車道に出てくるんじゃねぇよ。
 こっちも、この時期は「そういうバカが増える」と認識してるから、普段の半分以下のスピードでその道路に進入してるんで、今んとこ人身事故を起こさずに済んでるが、正直もうちょっと注意ぶかく行動してほしい。
 クラクション鳴らして注意を促せば、逆にこっちを睨みつけやがるし。
 家族に車で送ってきてもらったり、迎えに来てもらったりする場合でも、路肩に寄せもせず、ハザードも出さずにに停車するうえ、車の右側(つまり、車道の中央線側)のドアをいきなり全開にして、のったらのったら乗降している。
 身体が不自由で、そうしなければ乗降できないってんなら、できるだけ左側(歩道側)のドアを全開にして、そちらから乗降するようにドライバーが配慮するべきだろうし、右側のドアを開けたいんなら、後方から他の車が来てないかどうかの確認義務ぐらいはこなすべきだと思う。
 私は車が好きだけど、基本的に歩行者優先だと思ってるし、つねにそう心がけて運転してる。
 だからこそ、歩行者の側にも自分たちの分を守ってほしいと思うのだが、それはそんなに贅沢な考えだろうか?
 普段から、この施設で催しがあるたびに周囲の住民は大きな迷惑を被っているんだが、この「映画祭」のあいだは、その迷惑が倍増する。
 こう言っちゃ何だが、やっぱり40代以上のオバハンや図々しい年寄りの、客層に占める割合が大きいってことなんだろう。
 あと2日間の辛抱だと思うから、ガマンしてるけど……
 
 施設の側も、もうちょっと客に注意を呼びかけるとかしてほしいよ。
 先に書いた、施設前に駐停車しての乗降にしたって、お年寄りの客が多くなるだろう、と予測できる催しについては、会場前の侵入防止用の柱をどけて(地面にさしてあるだけなんだから)、乗降に限っては施設の真ん前に乗りつけることができるようにするとか、対策の取りようはあるだろう。
 警備員を出したって、そいつらは危険な乗降をしてる人に注意を促してくれるわけでもなければ、施設前に入れるように誘導してくれるわけでもない。
 何のためにいるんだよ、デク人形じゃあるまいし。
 月に一度は周辺住民の誰かがブチ切れて警察呼んでるって事態が「おかしい」ってことに気がついてほしい。
 かくいう私も、半年に一度ぐらいはガマンならなくなって施設の事務局に電話し、対策をお願いしているが、聞き入れられた試しがない。
 つか、こっちの住所氏名をハナから確認しようとしないあたり、本気で苦情を聞く気なんぞないんだろうな、と思う。
 こっちは正当な抗議をしてるんだから、尋いてくれば答えるよ。
 話をきちんと聞くつもりで確認してるんだな、ということが判れば、いくらだって名乗るし、なんなら直談判に応じたって構わない。
 でも、相手は聞く気がないからね。
 これだから、親方日の丸の施設は困るんだ。
 
 あと2日。
 今年もキレずにいられるだろうか……?