時代は変わったのかねぇ…
母と雑談してて、なんとも憮然とする話を聞いた。
母と仲良くしているご友人で、コンビニを経営しておられるHさんというかたがある。
そのHさんが、母に教えてくれた話だ。
お店でバイトしている大学生の子に、食事の支給ということで、賞味期限ギリギリになったお弁当などを、控え室で食べてもらうことがあるそうだ。
本来のバイトの契約には、食事の支給は入っていないそうだが、そこはオーナーの「少しでも廃棄のお弁当を少なくしよう」という思いと、学生さんなんだから……という好意によって、成り立っている習慣らしい。
だが、当たり前の話だが、毎日のように、お弁当が売れのこるわけではない。
そうそう売れのこったんでは、コンビニの商売あがったりである。
なので、独り暮らしのバイト学生さんのなかには、家で自炊するのが面倒なのか、正規の料金を払って弁当を購入、控え室で食べて帰宅する人もいるそうなのだが……
Hさん、そこでとんでもないことを学生さんから尋かれたそうな。
Hさん「お弁当を買った子がね、フタを取ったところで、なんだか怪訝な顔をしてるのよ。
ひょっとして、異物でも入ってたのか、と思うじゃない?
それで、『どうしたの?』って尋いたらね──」
ぼく、「いただきます」って言わなきゃいけないんでしょうか?
真顔で、そう尋ねられたらしい。
Hさんが目をぱちくりさせてたら、件の学生さん、こう言ったそうな。
このお弁当は、ぼくがお金を出して買ったものです。
それなのに、誰に「いただきます」って言うんですか?
オーナーがお弁当を食べるとき、いつも「いただきます」と「ごちそうさま」って言いますよね。
オーナーが仕入れたお弁当なのに……と思ってました。
このお弁当、ぼくがお金を出して買ったんだから、言わなくていいのかなって思ったけど、いつもオーナーが言ってるから、「いただきます」って言わなきゃいけないのかなぁって。
Hさん「もう、ね……どこから話をして良いのか、判らなくなったわよ。
べつに、ゴハン出してくれた人に対して『いただきます』って言ってきたわけじゃないよね、私たち。
ほんとに、息をするみたいに自然に、手を合わせて『いただきます』ってしてきたわけだから……
言うのか言わないのかって尋かれたら、そりゃ『言うものよ』って思うけど、その根拠を説明しろって言われても……ねぇ(汗)」
この話をしてくれた母は、私に対して、しみじみ言ったね。
「あんたねぇ……理屈はともかく、言わなきゃいけないことっていうのはあるんだから。
子どもたちにも、ちゃんと教えておきなさいよ」
大丈夫です、母上。
うちの息子、幼稚園に入園したとき、園長先生に名前を呼ばれて「はい」って返事はできなかったくせに、お祝いのおまんじゅうをいただいたときには「ありがとう」って大きな声でお礼を言った実績がありますから(爆)
いただきます、ごちそうさま、ありがとう、ごめんなさい……そういう言葉だけは、ちゃんと出てくるように躾けてきたつもりだし、これからも、そういう人間に育っていくように、親も心していかなきゃならないと思ってる。
しかし、そのバイト学生くん、結局「いただきます」って言うようになったのかなぁ……?
そこんところが、なんとも気になるわ……