普通は確認するものじゃないのかなぁ

 
 新年早々、一種のクレーム電話を入れるハメになった。
 我が家は細い路地の途中に立つ一軒家で、路地の奥は駐車場になっている。
 で、路地に沿う形で、隣の敷地にマンションが建っている。
 この年末、強風の日が多かったせいか、マンションのベランダから大掃除の途中でちょっとまとめておいたと思しきゴミ袋が、ごんごろごんごろ降ってきたもんだ。
 風で飛んでくるぐらいだから、かさ(大きさ)はあるものの、重量はないものが多い。
 空のペットボトルを溜めた袋とか、発泡スチロール製のトロ箱とか、そんなもんである。
 ちなみに、我が家の隣の家(やはり路地に面している)の庭に植わっている木の枝には、見事にコンビニ袋が引っかかっていた。
 ピンポイントで我が家の前に落っこちてきたり、隣家の木の枝に引っかかってたりする以上、どう考えたって、マンションのベランダから降ってきたとしか考えられない状況だ。
 年内のゴミに間に合った分は、我が家でまとめて出してしまったが、間に合わなかった分(トロ箱)に関しては、明日のゴミの日に出そうと思って我が家の玄関先に置いてあって、見る度に何となく腹が立つ。
 
 そんな訳で、マンション在住の知り合いから管理会社の連絡先と担当さんの名前を教えてもらった。
 管理会社から手紙を入れてもらうなり何なりして、ベランダにゴミを置く際は固定してもらうとか、ゴミ箱を使用して飛ばないようにしてもらうとか、各戸に要請してもらおうと考えたわけである。
 ところが、この担当さんってのが、あまり使えそうにない人で(汗)
 地理的条件から云って、どう考えてもマンションのベランダから降ってきてるとしか思えない状況を、まず理解してくれない。
 彼の言葉からすると、ペットボトルの袋だのトロ箱だのが、細い路地の中をゴロゴロ転がって、わざわざ我が家の前で止まったんだ、と本気で思ってるフシさえあった。
 マンション内の掲示板に掲示しても、そういう掲示を気にするような人は最初からゴミを飛ばすようなマネはしないだろうし(わざわざ見に行かないと見られない場所に掲示板があるため)、できることなら、各戸に手紙を入れてほしかったのだが、
「それだと組合費から経費を出さなければならなくなりますので……」
 と、検討の余地すら与えられないまま、この意見は却下されてしまった。
 また、掲示板への掲示も、
「隣の路地にゴミが落ちていることがあったらしいです」
 という報告に留まる、ということだ。
 あった「らしい」んじゃなくて「あった」んだよ! 
 第一、報告だけしてどうするんだ、と思いはしたものの、何もしてもらわないよりは良いかもしれないし、組合費云々を持ち出されてまで言い争う気力はなかったので、とりあえずは、その条件を承諾した。
 そして、相手が、
「じゃ、手配しておきますので」
 と電話を切ろうとしたので、
「こちらの連絡先は必要ないんですか?」
 と尋いたら、
「報告だけなので、もう必要ありませんから」
 と言われてしまったというわけだ。
 
 そりゃね。
 最初に名前は名乗ってるし、我が家の場所についても説明してるから、わざわざ連絡先を尋く必要はないかもしれないよ。
 でもさ、普通は電話番号ぐらい確認しておいて、
「処理をしました」
 ぐらい言ってきてくれてもイイんじゃないの?
 こちらは確実に迷惑を被ってるわけだし(あちらさんは、そうは思ってないみたいだが)、現に具体的な被害を報告してるんだから、掲示を出したときに、その旨ぐらいは知らせてくれても良いんじゃないかと思う。
 それとも、そんなことまではやってられないってことなのかなぁ。
 名の知れた総合商社の系列会社が経営、管理してるんだから、もう少し真剣に考えてくれるのでは……と思った私が、甘かったということなのだろう。
 考えてみれば、建築中も建材のクズやペンキが飛んできてたけど、うちの車にかけとくカバーひとつ貸してくれなかったしね。
 文句を言ったけど、
「風向きによることなんで、そこまではできません」
 と言いかえされたっけ。
 だから、正直なところ、最初のうちは、マンションの住民にすら良い感情は持ってなかった。
 駐車場へ入る際のゴタゴタで、凄まじい怒鳴り合いをしたことさえもある。
 子どもの関係で、だんだんマンションの住民に知り合いも増えてきて、こちらへ絡んでくるような根性悪な人はそうそういない、と判ってきてからは、こちらの気持ちも抑えられるようになってきたけど、こんなゴタゴタが起きると、
「所詮あの会社の持ってるマンションだもんねぇ……」
 と、どうしても思ってしまう。
 そうすると、同じ系列のマンションすべてが、イヤな場所に思えてきちゃうんだよね。
 自分でも、そんなふうに考えるのは間違ってると思うんだけど、社員の対応ひとつで顧客(正確には、そうじゃないけど)の気持ちは変わるもんだよなぁ……と、つくづく思ってしまった出来事でもあった。