就活の履歴書

 
 幸か不幸か、いわゆる「就活」というのをしたことがない。
 自由業をしばらくやったあとは、祖父と同居になったため、パートが精いっぱい。
 子どもが生まれてからは、自分が留守宅へ帰る寂しさ(両親が共働きだった)を思いだすと、とても働きに出ることはできなかった。
 子どもが手を離れつつある今、仕事に出ようと思えば出られるのだが、実家の母の心臓が悪くなったり、娘が難しい年ごろになったりで「正社員」という責任を負う根性はなく、地域のお手伝いを兼ねた、ささやかなパート稼業に就いている。
 なので、履歴書というのも、そのパートに出たときと、学生時代にアルバイトに出たときにしか書いた記憶がない。
 
 最近では、PCで履歴書を印刷することはもちろん、Face Bookなどによるアピールも履歴書がわりに利用できる企業があるらしい。
 私が履歴書を提出していたころは、できるかぎり丁寧に自筆で書いて、できるかぎり良く映った証明写真を貼っていたものだ。
 もはや、履歴書の書きかた(作りかた?)そのものが様変わりしつつあるんだから、今になって悩んでも始まらないんだけど、どうしても判らないことが一つある。
 私淑する高島俊男先生の随筆を読んでいたら、知り合いの社長さんが、
「裏にボールペンの文字が浮き出るぐらいに力強く書いてある履歴書を出してきたヤツから採用する。
 そういうヤツには根性がある」
 とおっしゃってて、先生もそれにおおいに賛同されていたことに、こっちはおおいに驚いた。
 大学時代、バイト先が変わるたびに履歴書を出していたけど、書くときには下敷きを入れ、
「裏うつりしないように」
 と注意して書いていたからだ。
 自分が筆圧が強くて、ノートなどでも、すぐに裏の文字が浮きあがって読みづらくなってしまうため、そのへんは非常に気を遣っていた。
 でも、ひょっとして、就活に関しては気の遣いかたを間違えていたんだろうか?
 裏からでも名前が読めるぐらい、力強く書いてたほうが良かったんだろうか?
 力強く書いてなかったから、根性がないと思われて書類選考でハネられたバイトもあったのかなぁ……などと考えだしたら止まらなくなっちゃったんだけど、PC全盛の現代で悩むことではないのかもしれない。
 でも、やっぱり気になるなぁ……う〜ん……(悩)