頭、カタくない?

 
 昨日(2011.6.4.)付の朝日新聞の記事で、妙な話を読んだ。
 
 愛知県東海市が市民に呼びかけて、東日本大震災で被災した姉妹都市宮城県釜石市への救援物資を募ったのだそうだ。
 募集を呼びかけたのは、衣料品
 ところが、市の意向とは違う物資──粉ミルク、紙おむつ、ウェットティッシュ、マスクなども大量に集まってしまった。
 もちろん、東海市民のかたがたの「善意」だろう。
 釜石市側では、そうした物資を必要としていないということで受け取りを拒否。
 東海市側は、余剰物資の扱いに困り、消費期限が迫っていた粉ミルクなどを市内の施設に配布して使用していた。
 それを知った市民から、
釜石市のために寄付したのに、東海市の施設で使うのはおかしい」
 という声があり、市は配布した物資を回収したというんである。
 回収した物資は、そのまま市の倉庫に保管しており、使い道は決まっていないとのことだった。
 
 この記事を読んでの最初の感想は、
「頭、カタいなぁ」
 というものだった。
 釜石市で使い道がなくても、他の被災した市では、粉ミルク等の物資を欲しているところがあったかもしれない。 
 もっと詳しく調べれば、それらの物資を必要としている避難所が、人が、あったかもしれないのだ。
 だが、それを調べることはなく、物資は送られないままで終わってしまった。
 せっかくの「善意」を活かさないのは良くない、と考えた東海市の職員が、市内の施設で消費期限の迫っている物資(おそらく粉ミルク等だと思う)を使おうと思ったのは、間違った発想ではないと思う。
 本来ならば、市の施設で、市のお金で購入して使うはずだったものなのだから、その分のお金(購入予算)を釜石市への義捐金に回せば良かったのではないだろうか。
 物資を提供した市民のほうも、市が物資をお金に換えて釜石市を支援した、と思ってくれれば良かったのに、と思う。
 倉庫で死蔵されるよりは、よほどマシだろう。
 
 そもそもは、募集されたもの以外の物資を持ちこんだ市民が、間違いのとっかかりだと思うんだけどね。
 でも、そこは「善意」だから許されてしまうんだろうな。
 
 何にしても、似たような話はきっと、あちこちにあるんだろう。
 本当に必要としている人のところへ必要なモノが届かず、必要としていない人のところへモノが届いて断わられたりとか、仮設住宅へ入りたくても抽選に漏れてしまう人がいるいっぽうで、仮設住宅よりも避難所のほうが食事や医療が充実しているからと仮設住宅入居に応募して当選しながらも移らない人がいたりとか……
 仕方がないことだとは思いつつ、何とかならないものなのかなぁ……と思う。 
 誰もが、もう少しづつ柔軟に物事を受けとめられたら、だいぶ事態が変わりそうな気はするのだけどなぁ……